シール印刷とは

シール印刷はどのような仕組みで印刷されるのかが分かりやすいように図にして説明させていただきます。工程は他の印刷方式と比べて複雑なところもありますが一度機械にセットしてしまえば大量の印刷を一気に仕上げてしまいます。
シール印刷

シール印刷とは凸版印刷ともいい、印刷の原理としては「はんこ」や年賀状を作るときに使う木版などです。印刷する面が出っ張っているから凸(トツ)版ということです。シール印刷では主に亜鉛板や樹脂板というものを使って、それを印刷するデザインを除いて薬品によって腐食させることによって溶かしだしていきます。こうすると印刷面が出っ張ってきますので、この部分にインクを付けて印刷するといった具合になります。

もう少し細かくご説明しますと、腐食して溶けたデザイン部分の版を「版胴」というローラーに巻きつけます。隣にはい「インクローラー」というインクが付いたローラーが回転しています。すると、まず、インクローラーに付いたインクは回転することによって、版胴についた版に移っていきます。版胴の下には印刷の対象物であるタック紙があります。紙の下には「厚胴」という圧力をかけて押し上げるためのローラーがあります。これが紙を押し上げるような形で、版胴に付いたインクが紙に転写されしっかりと定着させています。ちょうど「はんこ」を上から強く押してしっかりと印影をつけるようにするのと同じになります。

シール印刷機はシールの印刷から型抜き、不要な紙の除去(カス取り)、ラミネート(PP加工)まで一気に仕上げてしまいます。裏面に糊の付いたタック紙を印刷機にセットしさえすれば、1000枚程度でも数分~数十分程度で出来てしまいますので大量印刷に向いています。

シール印刷の工程

シールの印刷工程は簡単にすると以下のようになります。先ほどもご説明したようにインク等の下準備をしてタック紙をセットすれば、あとは機械が自動で作業してくれます。手間がそれほど掛かっておらず自動化されていますので、その分印刷単価がさがってお安くなっているというこです。

①印刷機械の下準備(インク、版のセット等)

②タック紙を印刷機にセット

③印刷開始

④お客様の必要性に応じ表面保護フィルム(PP)をラミネート

⑤シールの型抜きをする(円形、四角形)

⑦印刷、型抜き後の不要な紙を取りのぞく(カス取り)

⑧出来上がったシールを適当な大きさにカットする(短冊形カット、バラカット)

⑨版のズレやゴミが付着していないかなどをチェックする

⑩梱包してお客様の元へ発送・納品完了

色について

色の指定はDICカラーナンバーにてご指定くださるか、清刷りや見本のカラーチップを弊社にお送りいただいても結構です。RGBやCMYKでご指定いただいても印刷できませんので必ずDICカラーにてご指定ください。

写真・グラデーションについて

シール印刷は、多色の場合、色数分の版を使って印刷します。その際に、別の色が隣合うことはあっても交じり合うことはありません。従いまして、写真やグラデーションのような連続諧調は表現できません。写真や連続諧調などが入ったシールを作りたいということであれば弊社のオンデマンドシール印刷かオフセット印刷になります。(オフセット印刷は弊社では対応しておりません。)また、弊社で印刷可能な色数は1色~3色程度になります。

その他について

シール印刷はインク、素材自体に耐候性はそれほどありませんので屋内用途になります。他の業者様の中ではこのシール印刷をステッカーとして屋外でも多少は大丈夫というような感じで販売してところもあるようですので注意が必要です。確かにフィルムベースでPP(表面保護フィルム)であれば屋外の雨なら絶えられるでしょう。しかし、もともと紫外線に弱いのですぐにインクが色褪せてきます。また、PPのラミネートは表面がボロボロと剥がれてきます。ラミネートのこのような剥がれはご覧になったことがあるかもしれません。(ステッカーに使っている塩ビやPETのラミネートはこのようにはなりません。)量販店や専門店などでノベルティでもらうステッカー・シールは大量配布が目的ですので安く作るためにこのシール印刷仕様が多いです。例えばクーラーボックスに貼ってあるもので、このようにラミネートがボロボロになっているのを見たことがあります。

屋内用途でも水周りで使うものや水にぬれやすいものに対応したシールもあります。詳しくは「ステッカー選び方」をご覧ください。お客様に合ったシール素材が見つかるかと思います。